9月で軽音部を引退した。3年間ゆるく、自分達のペースで練習していたバンド。先輩後輩仲良く壁が無くて好きだった環境。私は部長としてこの1年全力で走り抜けた。やれることは全てやったと思う。初めて校内ライブも企画したし、このご時世の中でも文化祭ライブも成功した。
毎回、ライブの度にセトリを書いていた。何故か むらさきのマッキーで。最初は黒のマッキーで書いていたのだが、インクが切れたのをきっかけになんとなく手に取ったのがむらさきのマッキーだった。急にむらさきになったことに対して、メンバーは特に何も言ってこなかったからそれを続けた。「このセトリを書くのも最後かな」と思いながら5曲を書き上げた。
1.笑おう（yonige）
2.湯気（チャットモンチー）
-休-
3.WHERE?（夜の本気ダンス）
4.ないものねだり（KANA-BOON）
-MC-
5.情熱の薔薇（THE BLUE HEARTS）
なかなかのセットリストで、結構体力が持つかどうかのところでもある。（私はベースボーカル）最初から飛ばして、休憩を挟んでも休憩にはならないので過呼吸気味でそのまま3曲目に行く。3.4曲目で会場はコールアンドレスポンスの声でいっぱいになる。男の威勢のいい声、女の子の黄色い歓声、会場全員の笑顔。大好きな景色。私は余裕があるときはなるべく一人一人の顔を見ながら歌うのだが、今回で最後だと思うとあまり顔が見れなかった。こんなに楽しいのに、悲しくなってしまった。
最後の曲を「情熱の薔薇」にしたのはちゃんとした意味があってラストの曲にした。
私が「やりたい」と言ってコピーした曲なのだが、やっぱり歌詞がとんでもなく良い。
永遠なのか 本当か
時の流れは続くのか
いつまで経っても変わらない
そんな物あるだろうか
見てきた物や聞いた事
いままで覚えた全部
でたらめだったら面白い
そんな気持ちわかるでしょう
答えはきっと奥の方
心のずっと奥の方
涙はそこからやってくる
心のずっと奥の方
「答えはきっと奥の方」と、歌いながら喉の奥が苦しくなってきた。口の中が苦くて涙が出そう。「ブルーハーツなんか今の子知らないでしょ」なんて言われてもいい。私達がやりたいんだから。伝えたいんだから。会場にいる誰かひとりにでも私達の熱が届けばいい。
元々入場制限なんて無かったのにコロナの事もあって80人限定になったライブ。2年生の頃は100人以上いたのに すごくそこが心残りだが仕方の無いことだ。きっとこのままの調子だと卒業ライブもできない。バンドで集まって配信すらもできるか怪しい。「また観たい」「もうライブないの？」と言ってくれる友達もたくさんいるのに。悔しい。
このライブが終わってから、もうベースには触っていないし、メンバーとも集まっていない気がする。受験も最後のテストも終わったから何かまた新しいことを始めなきゃ。
むらさきのマッキーは鍵付きの引き出しにしまった。また何か始める時に使おう。
